不定期配信のコラム【あの一言】。
ドラマや映画などから、わたくし帆南がピンときたひと言について、心理の視点を織りまぜてつぶやきます。
私たちは、子どもの頃から誰かの顔色を伺うということを、いつのまにか身につけているようで。
親の顔色を伺い、
パートナーの顔色を伺い、
友人の顔色を伺うなど、してしまいませんか。
こんなことを言って大丈夫かな。
こんなことをしない方がいいかな。
あの人のことを思えば、
こうする方がいい、こうしないほうがいい、
などなど。

顔色を伺うというのは、実際に目の前に相手がいるかどうかは、実は関係ないのかもしれない、などとも思うのです。
相手の気持ちをあれこれと想像して、その人が気分がいいように、悲しまないように、気を使いながら、
自分が何を言うか、何を言わないか、何をするか、何をしないかを、決めようとすることではないでしょうか。
たとえば、
- 本当は遊ぼうって言いたいけど、忙しそうだからやめておこう。
- 本当は何か手伝えることない?って聞きたいけど、断られそうだからやめておこう。
- 本当は愛してるって言いたいけど、きっと迷惑だから、その言葉は飲み込もう。
- 本当は助けてほしいって言いたいけど、困らせるかもしれないから、やめておこう。
身に覚えのある人もいらっしゃるはず。

顔色を伺ってしまう心理的な理由、それは相手があなたにとって大切な人だから、まず相手の気持ちを優先したいという思いではないでしょうか。
大切な人ほど顔色を伺って、自分はどうすべきかを考えるんだけど、実は相手が本当は何を感じて、何を欲しているのかなんてわからないのですよね。だから一生懸命に考えて考えて、やっぱりわからないので疲れて、ウンザリしてしまったりするかもしれません。
そして顔色を伺うことの最大のリスクは、大切な人ほど傷つけたくないので、これはやめておこう、と思うことがたくさんあるということです。
気づかないうちに「これは言わない」「これはしない方がいい」などのナイナイ尽くしとなり、相手になるべく近づかないことがいいように感じてしまうのです。
いつのまにか相手との心の距離が開き、【お互いに】仲良くなれない寂しさを抱えてしまうことがあるのです。
大切な人なのに仲良くなれない。
これほど悲しいことはないんです。

相手のことが大切。
だから相手の心の内を想像する。
やらない方がいいと思うことが増えて相手との距離ができる。
お互いに関係性が悪くなり、寂しくて、相手を責めたくなる。
そんな負のループを断ち、ふたりがより親密になれるための一言が、ドラマの中にあったのです。
顔色を伺われる側の気持ちを代表する言葉といえるかもしれません。
それが、
「俺の気持ちを勝手に決めるのはやめて」
でした。
相手のことを思って、良かれと思って話しかけない。良かれと思って心の距離をつくる。
良かれと思って、物理的にも距離をおく。
でも相手にしたらそんなこと頼んでもないし、そんなことをされたら嬉しくないし、寂しいじゃないか!と怒りたくなってしまってもおかしくないんですよね。
良かれと思ってというのは、相手の気持ちを勝手に決めてしまっていることだったんですね。
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私たちには、会話ができたり、コミュニケーションができるというギフトが与えられています。
当たり前のように持っているこのギフトを、心を込めて使っていきたいものです。
勝手に相手の気持ちを決めつけるのはやめて、
つたなくてもいいから、
心のうちを言葉で相手に伝えてみる。
それが本当の意味で相手を大切にするはずだから。
そう思えた一言でした。
この一言、よかったらドラマの中で探してみてくださいね。
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