不定期配信のコラム【あの一言】。
ドラマや映画などから、わたくし帆南がピンときたひと言について、心理の視点を織り交ぜてつぶやきます。
ドラマや映画などから、わたくし帆南がピンときたひと言について、心理の視点を織り交ぜてつぶやきます。
***
ゴールデンウィーク中、録画していた「ミステリと言う勿れ」というドラマを全話一挙に見ていた中で、ある警部が、若い女性の巡査に「お客様体質もいい加減にしろ」というようなことを言うシーンがありました。
お客様体質というのは、いかにも自分はお客様ですという顔をして、私のことを大切に扱いなさいよ、という態度を取ることかなと私は思ったのですが、、、
ドラマの中での「お客様体質」は、
「主体性がないとか、積極性がないとかじゃなくて、むしろ逆」だそうで、
「お客様体質をやめる」とは、
つまり「自分の手に負えないことがあったら人に助けてもらう」ということだったり、「チームの一員として、他のメンバーをたよる」ということだったりするようでした。
「主体性がないとか、積極性がないとかじゃなくて、むしろ逆」だそうで、
「お客様体質をやめる」とは、
つまり「自分の手に負えないことがあったら人に助けてもらう」ということだったり、「チームの一員として、他のメンバーをたよる」ということだったりするようでした。
なるほどー。その「お客様体質」とは、心理学で言うところの「自立」なんだろうなーと思いながら見ていました。
自立という言葉は、一般的には独り立ちすることや、他からの支配や助けを受けずに存在することという意味で使われることが多いので、良いことのように聞こえるかもしれません。
私も心理学を学び始めた頃、女性のセミナー講師(トレーナー)さんに、「尚美さんは超自立ね。」と言われ、褒められたのだと勘違いしてホクホクしていたのを思い出します。苦笑
心理学で言う自立とは、一人きりで頑張る人のことを指す場合が多いです。
人に頼ってばかりだった依存時代は傷つくことの連続だったため、もう傷つかないぞ!と思い、そのためには二度と人に頼るものか!と思って依存から自立へ移行する、と考えられています。
自立の人は、弱い自分を嫌い、弱音を吐くことを良しとしないので孤独ですし、自分ひとりで頑張ると周囲とうまくいかないことも出てきます。心がパッツンパッツンに頑張り過ぎて疲れていても、それさえも自分でなんとかせねばと考えてしまうのです。
「自分の手に負えないことがあったら人に助けてもらう」なんて、自立の人にとって、とても苦手なんですよね。
そもそも「自分の手に負えない」なんて思う前に努力しろ、と自分に言ってますから、手に負えないかもしれないとも思わない、ということもあるかもしれません。そのため「人に助けてもらう」などということが頭をかすめることも無く、ボロボロになるまで頑張ってしまうのです。心理学では依存・自立・相互依存という順番で心の成長があるという考えがあり、自立を手放し、自分の弱さを認め、お互いに補い合うことで、「私」と「あなた」ではなく「私たち」という世界を手に入れて、心の安寧に近づくことを目指したりすることがあるようです。
今でこそ私は、ほんの少しだけ人にお願いしたり、手助けを申し出て下さる方がいると、ありがたく受け取れるようになってきましたが、それでもたいていは、「自分がなんとかしなくちゃ」という考えにはまりやすく、ヘロヘロに疲れるまで頑張って、なんとかやり切ったあとに、「あ、誰かに助けを求めればよかった・・・。」と気づくのでした。(ま、気づくだけ、以前よりはマシになったかもしれません。)
なので、ドラマの中で伊藤沙莉さん演じる刑事さんが、目の前で同僚が刺されたとき、「お客様体質」の言葉を思い出して応援を要請したシーンは、個人的には非常に感動しました。だって、自立の人が、自立を手放すのって、ものすごくものすごく怖いし、本当にこれでいいの?と悩むし、しんどいことなんですから。
でも自立を手放すと、一人では叶わなかったことができるとか、より良いものが手に入るなど、大きな恩恵がそこにはあるのだと思うのです。
そんなわけで、私もこれからもっともっと自立を手放し、人に助けを求められるようになっていきたいなぁと思ったのでした。