不定期配信のコラム【あの一言】。
ドラマや映画などから、わたくし帆南がピンときたひと言について、心理の視点を織りまぜてつぶやきます。
この世には生きる価値なんてない。そんなふうに思うとき、私たちは誰ともつながらず、ひとりぼっちで、真っ暗闇を、どこへ行くともなく、さまよっているのかもしれません。
でも、ほんの一瞬だけ、その暗闇に光がさすときがありませんか。
それは、あなたの価値を誰かが教えてくれたときかもしれません。
価値なんて、たいそうなことじゃないかもしれないけど、
あなたのここが好き、とか
ここがいいね、とか
くすぐったいようなことを、ひとこと言ってくれる人。
「そんなことはありませんよ」と、突き返したいような、
でも、「私にそんな魅力や能力があると教えてくれてありがとう」と伝えたいような。
結局なにもいえずにいると、その人との関係は過ぎ去って、消えていってしまうけど、
やっぱりあのとき、一筋の光をさしてくれたときのあたたかな気持ちが、今も胸に残っているような気がすることは、誰にでもあるかもしれませんね。
私にとってそれは、
はじめてグループセラピーに参加した日、さりげなく、でも私のことを見て、私の言葉を聞いて、ほめてくださったひとこと。
こんなふうに伝えてくれる人がいるんだと感動したのに、何も言えませんでした。
誰のことも信じられないし好きになれなかった真っ暗な私の世界が、一瞬だけ輝いた気がしたのに。
あのとき言えなかったありがとうを、もう会えないあの方にむけて、今、心の中でつぶやいてみたりするのです。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。
私はよく思うのです。
あのとき、ありがとうをケチってしまい、言わずにおいたのはなぜだろうと。
恥ずかしかったのか、自分の価値を受け入れられなかったのか、あるいは。。ただただ自分のことが嫌いだったからなのか。
「ありがとうは言い過ぎることはない」と、俳優・鈴木福さんのお母様はよくおっしゃっていたそうです。
朝の情報番組で、鈴木福さんがなにげなくつぶやかれていました。
そのとおりだな、と思う一方で、私はそれほど
ありがとうを言えてこなかったことを、少し恥ずかしくも思いました。
ありがとうは、「あなたのおかげで私は嬉しい気持ちになりました」「あなたは私に一筋の光をあててくれました」「そんなあなたはとても素晴らしい人です」という思いの凝縮版。
ありがとうをケチらない自分になりたい。
そんなことをあらためて思えた素晴らしい言葉。
「ありがとうは言い過ぎることはない。」
あなたにも、おすそ分けさせてください。