世間体を気にする母親を許せない気持ちについて

世間体を気にするお母さんのことを考えると、イラッとして許せない気持ちになる、というお話しを伺うことがあります。

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「世間体を気にする」とは、人の目を気にし、人にどう思われるのかを気にすること。

・「良く思われたい」と思い、自分をより良くみせようとすることでもあるかもしれません。

・あるいは「良く」みせるより、「無難に」みせようとすることもあるかもしれません。みんなと同じに横並びであろうとすることもありますよね。

・人に悪く思われないように必死になることかもしれません。

世間体を気にする人はなぜそうなのか、そういうお母さんを許せないのはなぜなのか、などを理解していくと、これまでとは違う目でお母さんを見られるだけでなく、いろんな人づきあいの仕方もよりよく変わっていったりするようです。

目次

1. 世間体を気にする母親を嫌う心理

「うちのお母さんは世間体を気にする人。そして、そんなお母さんのことは好きじゃない。」という方もいらっしゃると思います。

なぜ好きじゃないのでしょうか。

そもそもそういう物事の考え方がきらいという方もいらっしゃるでしょう。

あるいは、もしかしたら子どもの頃、

「世間体と私、どっちが大事なの?」

なんて思ったことがあったかもしれませんね。

たとえばこんなことがあったとします。

中学生か高校生のころ、大晦日の夜から彼氏と二人で、初詣に出かける約束をしたとします。ところがその話を聞いたお母さんはいきなり怒り出し、

「いけません」「許しません」の一点張り。

あなたは、「初詣をしたらすぐに帰ってくるから。」と言っても、
お母さんはいいとは言ってくれません。

しまいには、「ご近所さんにどう思われると思ってるの!若い女の子が、男の子と夜に出かけるなんて絶対に許しません!」などと言われる始末。

もちろんお母さんは、あなたが女の子だからと色々心配してくれているらしいのは、あなたも分かっていたかもしれません。
でも、ご近所さんがどう思うなんて、ハッキリ言ってどうでもいいんじゃないの?と、あなたは思ったかもしれません。
「お母さんが心配しているのは、私のことではなくて、ご近所さんに『お母さんが』どう思われるかなの?つまりお母さん、あなたは自分のことを心配しているの?」
なんて、思ったとか、思わなかったとか。
「自分がどう思われるかばかり気にするお母さん」にウンザリしていたかもしれませんね。

2. お母さんが世間体を気にする理由を理解する

さてここで、「なぜお母さんが世間体を気にするのか」を考えてみましょう。

そんなの自意識過剰とか、人によく思われたいプライドのかたまりとか、どうせそんなものでしょう?と思われるかもしれません。

もちろんそのようにとらえることもできますが。

ただ、こんなふうに考えることもできます。

お母さんにとって、世間の人によく思われること(少なくとも悪く思われないこと)が、【幸せに生きるための最重要事項だった】だろうということです。

まぁ、そうですよね。

そして大切なのは、これを「子どもが大人を見る目線」で見るのか、「大人どうしの目線」で見るのか、ということなんです。

3. 子どもが大人を見る目線

親子って、いつまでたっても親子なので(←あたりまえ)子どもからすると、親は

・本来ならしっかりした、まともな、きちんとした人であるべき

などと感じることがあり、

そうでない親に、不平不満を感じることが多いんです。

実際は、親もあなたと同じようにふつうの人間なので、
できることと、できないことがあり、まったく完璧ではないのですけどね。

子どもの頃は、大人はなんでもできると思い、完璧に違いないと感じることが多いのです。

成長してからも「子どもが大人を見る目線」で親を見続けていると、親は完璧であるべきという思いを持ちやすく、そのため親ができないことに不平不満を感じてしまうらしい、といわれているのです。

4. 大人どうしの目線

では「大人どうしの目線」とはどういうものかといえば、あなたが大切な親友を扱うように、対等の立場で相手のことを考えることと言えるかもしれません。

【世間の人によく思われることが、お母さんが幸せに生きるための最重要事項だった】としたら、それを大人どうしの目線で見ると、たとえば、

・お母さんは、世間の人によく思われないことを経験したのかもしれないし、それはどれだけ辛くて大変なことだったのだろう、とか、

・お母さんにとって、世間の人は、お母さんを責めたり除け者にするかもしれない怖い人たちに思えたのかもしれないな、とか、

・お母さんって、実は人づきあいがすごく苦手だったのかな、

なんて思うかもしれませんね。

ここでも「世間の人によく思われることが、幸せに生きるための最重要事項のはずがないし、そもそもその考えがおかしいでしょ!」などと、親を批判したくなったりするものではあります。
そんなときは、「あぁ、いま親を批判してるなー。」と、一歩引いて客観的に自分を見てみるのもいいと思いますよ。

5. あなたに世間体を押しつけるわけ

「世間の人は怖い。だから悪く思われないようにしなければならない。」
そんな思いが、世間体を気にするお母さんの気持ちの裏にあったとしたら、

そして、お母さんにとって、世間の人によく思われること(少なくとも悪く思われないこと)が、【幸せに生きるための最重要事項だった】としたら、

そんなお母さんが、あなたにも世間体を気にすることを押しつけようとした理由は、

あなたに、幸せに世の中を生きてほしいと願っていたからだ

と考えることもできるかもしれませんね。

世間体を気にして生きることが、良いとか悪いとか、そういう話ではなく、
お母さんなりに、最も幸せに近づけると思うやり方(=世間体を気にする)を、愛する子どもに教えようとしたと考えることもできるかもしれませんね。

世間体と私、どっちが大事なの?という問いには、あまり意味がなかったのかな?なんて思うかもしれません。

お母さんがあなたを大切に思っていたかもしれないということが、ちょっとだけでも気づいていただけるかもしれません。

6. なぜ親を理解してあげないといけないの?(親との和解のために)

親が私のことを大切に思っていたならば、もっとやり方があったんじゃないの?など不満が出てくるかもしれませんし、なぜ私から親のことを理解し、歩み寄ってあげなければいけないのかと思うこともあるでしょう。

うまくいっていない親との仲をなんとかしたい、とおっしゃるクライアントさんには、「大人どうしの目線」を持つことをおすすめしていますし、そうなれるようなサポートをカウンセリングでもさせていただいています。

とはいえ強い抵抗を感じてしまうこともありますよね。

そんなときは、「あんな親」への猛烈な反発とか、「あの親のせいで」という被害者意識のようなもので、クライアントさん自身が一歩も前に出られないこともあるのです。

それは、親との仲をなんとかするよりも前に、クライアントさん自身の心のコンディションをまずは整える必要がある状態であると考えることができます。

現在のクライアントさんの状況を丁寧に見極めながら、カウンセリングはすすめていきます。

そんな中でも忘れてはいけないのは、「あんな親」と思いながらも、やっぱり仲をなんとかしたい、やさしくしたい、大切にしたい、親孝行したい、などと思っているあなたのやさしさなんです。

そのあなたのやさしさを、あなたの心の中だけで未消化にしておくのでなく、楽に表現できるようになることが、あなたが楽に生きるベースを作ることにもなると思うのですよね。

なにかのご参考になりましたら幸いです。

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この記事を書いた人

帆南尚美のアバター 帆南尚美 心理カウンセラー

職場の人間関係、夫婦・家族の問題を主に扱う。「解決したい問題がある時に、悪いところを探して正そうとするのではなく、自分の魅力や才能を受け取れば物事を全く別の見方で捉えることができ、自分の枠から自由になり、のびのびと楽に毎日を送れるようになる」というスタンスでカウンセリングを行っている。

<得意分野>
・30〜50代の恋愛
・パートナーシップ
・夫婦関係
・今の仕事を気分よくやりたい
・職場の苦手な人を減らしたい
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