私はやさしくない、やさしくなれない、という思い

人と距離を保つ必要があるステイホーム期間。それでもやっぱり人との関係に悩みはつきないものです。

人と付き合うのが気が重いと思うとき、相手のことが気に入らないということもあるけれど、意外と多いのが「誰かとの関係において、自分のことが嫌だ」ということ。

中でも、人にやさしくできない、という思いを持つときに、意識しているかはともかく、私たちは自分を責めてしまうことがあるようです。

たとえば身近なことでは、こんなことがあるかもしれません。

◇コンビニのレジで小銭を落とした人がいても、一緒に拾ってあげられない。
◇具合の悪そうな人がいても、大丈夫ですか?と言えない。
◇SNSで「いいね」ができない。
◇誰かの話を笑顔で聞いてあげられない。

まぁいつものことだけれど、と思いつつも、このようなことが起きるたびに、「はぁ、まただ。私って本当に嫌なやつ。。」と思ってしまうかもしれません。

しかしなぜ、私たちはときに人にやさしくできないのでしょうか。

心に余裕がない。


とてもリラックスしているとき、良いこと続きでウキウキしているとき、私たちは誰かにちょっとやさしくしちゃおうかな~と思うこともあるのですが、

反対に心に余裕がないときは、自分のことに精一杯で、誰かにやさしくなんてしてあげられないですよね。

もし今あなたがそういう状況だとしたら、あなたはなぜそんなに余裕がなくなっているのでしょうか?

今あなたには、何が起きているのですか?

もし自分ひとりで抱えきれないものがあるとしたら、一緒に心の荷物を持ってくれる人をさがしてほしいのです。

誰かに「助けて」と言うことは悪いことではないし、あなたに頼りにされると人は喜びます。

あなたはもっともっと大切にされるべきなのだと思います。
誰かに、ではなくて、あなた自身にです。
あなた自身をやさしく扱うために、自分ひとりで何とかしようとせず、気持ちを分かち合える人を見つけてみませんか?

◇◇◇

私は30代後半から不妊治療を受けていましたが、そのときは毎月生理がくるたびに、「また今月もだめだった。。」と落ち込むことの連続でした。

なぜ私は子どもが持てないのか、なぜこんなことが続くのか、何をすればいいのか、そんなことばかりずっと考えていて、気の休まるときがありませんでした。

そんなとき、かわいい赤ちゃんをつれた若いお母さんが目の前で電車に乗ろうとしていたことがあり、ベビーカーを電車に乗せるのに手を貸していた人たちを私は近くで無言で見ていました。

お手伝いできたらよかったけれど、したいと思えませんでした。そしてそんな自分を責めました。

あのとき、誰かに相談できたらよかったな。
ひとりで苦しんでいたけれど、それ以外に方法を思いつかなかったことを、今はなつかしくも思います。
私がカウンセリングというものに出会ったのは、それから何年も後のことでした。

自分なんて役に立たない


人にやさしくすればいいのに、と思うものの、変な手出しをしたら返ってダメ出しをくらいそうだからやめておこう、と思うことがあります。

真面目で色々なことをきちんとやりたい人に多いかもしれません。
また、たとえ私がやさしくしても、相手は嬉しくないだろうと思うこともあるかもしれません。

無価値感ともいいますが、あなた自身が自分は役に立たない存在だと思っていることがあるのです。

あなたのひと言や、あなたの笑顔、ちょっとした親切に救われる人はたくさんいるのですが、それを信じられないのはとても苦しいことだと思います。

かつての経験から、自分は役に立たないと思い込むことになったのかもしれません。
それはとても悲しい出来事だったのかもしれませんが、「あんなことがあったから私は役に立たないと思った。」という結論付けは、多くの場合誤解であったりします。

役に立たないと思ってしまったルーツを探って、その誤解を解いていくことで、もっと自分に自信が持てるようになったりするのではないかと思います。

◇◇◇

私は3人きょうだいの末っ子でして、上の二人とは少しだけ年が離れています。
そのため子どもの頃は、いつまでたっても赤ちゃん扱いで、何をするにも、「いいからあなたは黙っていなさい。」とか「あなたは何もしなくていいから。」と親やきょうだいに言われていました。

すると、私が何か発言したり行動することは、みんなの迷惑になるんだな、と思うようになりました。
だから私は、できるだけ言葉少なくひっそりと存在する人間になろうと思ったんです。

そんなこと誤解にきまっている、と今ならわかります。
でも長年その誤解を真実だと思って生きて来たわけですから、自分の価値に対する結論付けというのは、きちんと向き合って正していく必要があるんだなと私は思っています。

自分はやさしくされていない


誰か特定の人に対してやさしくできないときに、「だって私はあの人からやさしくされていないのだから、私からやさしくするのは不公平だ。」と思うこともあるかもしれません。
まずあの人から私にやさしくすべき、ということかもしれません。

あるいは、かつてやさしくした時に傷ついた経験があり、もうやさしくなんてするものか、と心に固く誓ってしまったこともあるかもしれません。

心の法則は、与えなければ増えない、といいます。
人にやさしくしてほしいと思うとき、自分が相手にやさしさを与えない限り満たされないということのようです。

私がやさしさを与えるなんて、もらえていないから与えるものがない、心がカツカツだ、と思うかもしれません。
でも、あなたは本当は持っていると思うのです。
持っていると思い込んでみる、というのでもいいのです。

そして、あなたが今「自分ならこうしてほしい」と思うことを、相手に与えてみることで、少しずつですが事態が良い方へ変わっていくかもしれません。

◇◇◇

小さいことですが、私は夫が「おはよう」とか「ただいま」などの挨拶をしてくれないことに不満を持っていたことがありました。

それは育った環境にもよるのだと思いますが、私にとって挨拶のない関係は、私自身が大切に扱われていないような気がしていました。

「朝起きたらおはようって言ってよ。」「帰ってきたらただいまって言うものでしょ。」と何度も要求してみましたが、何も変わりませんでした。

そのため、私はしばらくの間、私からも挨拶はやめてやる!と思って夫を無視した時期がありました。
無視すればするほど、気持ちがとても落ち込みました。
夫を大切にしていないこともそうでしたが、自分をも大切にしていないような感じがしました。

何年もそのようことを続けていると、夫との関係がとても冷たいなと思ったのを覚えています。

今さら挨拶を復活させるのもおかしな気がしたのですが、私はどんな夫婦関係にしたかったのかな、とあらためて考えたときに、
そうだ、お互いに温かく挨拶のできる二人だったらよかったのに、と思いました。(もちろんそれ以外にもたくさんありましたが・・。)

そこで、何年かぶりに、夫が出勤するときに玄関まで行き、「いってらっしゃい。」と笑顔で言ってみました。
夫は少し驚いた様子で、「お、おう。」と言って出て行きました。

そんなことを続けているうちに、夫が挨拶をしようがしまいが、私にとっての温かい関係はここから始まるのだ、と思うようになり、夫が帰ってくればめちゃくちゃ明るく「おかえり~~~(はーと)」と言い、「おやすみ(はーと)」も「おはよう(はーと)」も、私がやりたいようにやりました。

すると、以前は私のそういった挨拶を迷惑そうに感じているように見えた夫が、実は挨拶しないのは恥ずかしいからではないかと思えるようになったのです。

生まれ育った家族で挨拶をしたことがほとんどなかったので、そんなこと恥ずかしくてできるか、、という感じだったようなのです。
なんだ、私のことを大切に思っていないからではないのね、とようやく納得ができました。

そうこうしているうちに、今では夫も、私が出かけるときには玄関まで見送りに来てくれます。
「いってらっしゃい」は言ってくれないけれど、笑顔で片手をあげて「いってらっしゃいポーズ」をとってくれます。
それだけでとても嬉しい気分になって、私は颯爽と出かけるのでした。

◇◇◇

人に優しくできないなと思うとき、一番傷ついている人は誰でしょう。

それは、あなた自身ではないかと思うのです。

本当はやさしくしたいのに、できない。それが辛いのではないでしょうか。

そして、やさしくできる人は根がやさしいからというだけではありません。
やさしくしようとしている人なのです。

やさしくしているうちに、そんな自分に自信が持てるようになるのではないでしょうか。

あなたが疲れた心を癒し、人にやさしくする意欲を持ち、それによりもっと自信を持てるようになったらいいなと思っています。

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この記事を書いた人

帆南尚美のアバター 帆南尚美 心理カウンセラー

職場の人間関係、夫婦・家族の問題を主に扱う。「解決したい問題がある時に、悪いところを探して正そうとするのではなく、自分の魅力や才能を受け取れば物事を全く別の見方で捉えることができ、自分の枠から自由になり、のびのびと楽に毎日を送れるようになる」というスタンスでカウンセリングを行っている。

<得意分野>
・30〜50代の恋愛
・パートナーシップ
・夫婦関係
・今の仕事を気分よくやりたい
・職場の苦手な人を減らしたい
・言いたいことを言えるようになりたい
・自分の良さを表現できるようになりたい
・いつも前向きな人生にしたい         など

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