カウンセリングサービスの帆南尚美です。
ブログにお越し下さり、どうもありがとうございます。
あれは二十歳くらいのころだったかなと思います。
当時仲良くなって間もないクラスメイトのK子ちゃんと一緒にいたところ、K子ちゃんの彼氏にバッタリ遭遇しました。
彼氏のことは話に聞いていましたが、私はその方に会うのは初めてでした。
私とK子ちゃんとは、なんとなくウマがあって、飾り気のないところが良いなぁと私は思っていました。
と、彼氏が目の前にいたことに気づいた途端、K子ちゃんの話し方が一転しました。
今まで私と一緒に大口を開けてガハハハっと笑っていたのに、彼氏と話すK子ちゃんの声には艶があり、どことなく甘えた感じで、声のトーンも1オクターブくらい高くなっていました。
??なんだ、これは??
私は目の前で起きていることの意味がよく分かりませんでした。
当時私にもデートをする相手がいたのですが、その人と話をするときに自分の声のトーンが上がる、または上げる?、という感覚が分かりませんでした。
K子ちゃんとその彼氏を交互に見て、私はとても驚いていたのですが、その一方で、K子ちゃんってかわいいな、と思ったことを今でもよく思い出します。
時は流れ、私もいつしか彼氏と話すときには声が高くなった時期もありました。
そして結婚20年を超えたある日、私は夫と会話している自分の声が普段より1オクターブ低いことに気付いて愕然としました。
こ、これは、、、。
私が誰かと話すときに声が高くなるのは、大抵の場合は無自覚ですが、大きく分けて2種類あると思っています。
ひとつは、まだあまり知らない人などに自分の印象を少しでも良くしたいというとき、例えば電話に出たときの第一声や、知り合って間もない人と話すときです。
そしてもうひとつは、相手に大好きな気持ちが溢れているときです。
若かりし日のK子ちゃんはこのケースだったのかもしれません。
相手に大好きな気持ちが溢れていることの表現として無意識に声が高くなり、話すたびに「好き好き、大好き!」と、言葉ではなく伝えていたのかもしれません。
そうすると、夫に低〜い声で話している私は何なのでしょうか。
高い声が「好き好き、大好き!」だとしたら、低い声は「はぁ、つまらない、ったくもう」だったかもしれません。
もちろん長い付き合いを経た関係で、お互いに気を使わなくてもいいという落ち着いた二人、という見方もあるかもしれませんが、
先ほどの1オクターブ低い私の声は、落ち着いているにも程があるでしょ、と自分でツッコミを入れたくなるほどの、不機嫌さを含んだものでした。
でも実際私は何か理由があって不機嫌だったわけではありません。
ただなんとなく、習慣になっていたような気がします。
そして、もし私が夫の側だったら、と想像してみました。
かつては「好き好き、大好き!」の私の声が、今では「ったくもう」になっていることに、夫が何を感じているのか、そんなことは時間をかけずとも、分かります。
私は、夫の立場だったら嫌だなぁ、と思いました。
楽しいことがあっても、なんだかあらためて夫に楽しそうな声を出すのも面倒だったり、恥ずかしかったりしたのだと思いましたが、
これは今私が何を感じているのか、楽しいのか、怒っているのか、などを、正しく相手に伝えていないことになると気づきました。
声の高さは一つの例だと思いますが、相手に自分の気持ちを伝えるのは言葉だけではないと、あらためて考え直しました。
そして、まず私ができることとして、楽しいときには楽しそうな声で話す、という、当たり前でも今までできていなかった、ほんのわずかな変化を自分に許すことかなと私は思いました。
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