わたくし事で恐縮ですが、先日結婚30周年を迎えました。
結婚20周年の頃、夫婦関係は最悪で会話もほとんどなかったのに、いちおう20周年記念だからといって海のきれいな島に旅行に行きました。
美しい景色と、二人の冷め切った心があまりに対照的で、居心地の悪さが鮮明に思い出されます。
結婚25周年の頃、心理学を学びはじめて数年たっていて、夫婦関係をなんとか持ち直すことができないだろうかと必死にもがき、ほんの少しだけ手ごたえを感じていました。
25周年記念で美しい街に旅行に行きました。
まだギクシャクしていたけれど、愛するということを試行錯誤しながら、ときどきほんの少しだけ、お互いに楽しく笑顔を向けることができるようになっていたので、街の景色は温かく心に残りました。
それからさらに5年たち、30周年の今年、夫婦関係にギクシャクのギの字もなくなっていることがうそのようでもあり、大変有難く思います。
夫に対して不満ばかり感じていたのに、心理学を学んでから、夫に「変わってほしい」と頼んだことはほとんどありません。
当時は、夫が何を思っているのか話してほしい、会話をしてほしい、私に興味をもってほしい、大切にしてほしいなど、私の頭の中は「して欲しい」ばかりでした。
でも、彼に変わってもらうのではなく、自分が変わればいいという心理学の教えをただ信じてやってきたら、
私が変わり、夫への見方や感じ方が変わり、夫をもっと愛そうとすることで、夫がどんどん変わってくれました。
あのときに「して欲しい」と思っていたことの多くは、今はだいたい叶っている気がしています。
今まさにご夫婦の関係に悩み苦しんでいる方もいらっしゃると思います。
ステップ1〜愛することを決める
夫婦仲が良くなかったころ、私は夫に変わってほしいと思うことがたくさんありました。
そして、夫が変わってくれたら離婚しなくてもいいけれど、
変わってくれないならば離婚しかないだろう、と考えていました。
相手の態度によって、自分が愛するのか愛さないのかが決まる、と考えていたのです。
そのように考えることは当然だと思っていたのですが、実はパートナーシップがなかなかうまくいかない大きな理由はここにありました。
夫を愛するかどうかを、まず「私が」決める必要があったのです。(心理学ではこのように心から何かを決めることを「コミットする」と言います。)
でもなかなかできませんでした。
なぜなら、私が夫を愛することにしても、夫が相変わらずであったとしたら、夫を愛することにした私は馬鹿をみるし、損だと思ったのです。
つまり、「まずはあなたから愛しなさいよ(変わりなさいよ)。」と私は思っていたのです。
パートナーシップは、まず自分から愛することを決めないと始まらない、ということがわかるまで、私はだいぶ時間がかかってしまいました。
ステップ2〜どう愛そうかと悩み、愛を選択する
私から愛するということを、やっと決めることができた私でしたが、その後は「愛するって何をすればいいの?」という疑問が湧いてきました。
「愛する」というのは、「好きになる」というのとは違います。
「愛する」というのは、「相手が喜ぶことを、心を込めてすること」と言えるかもしれません。
それはほんの小さなことでいいのですが、まず何からやろうか悩んでしまいます。
そして、たとえば朝起きたら相手の顔を見ながら笑顔で「おはよう」と言うことにしようとします。
でもですね、やりたくないんですよね。
ギクシャクしている相手ですから、たとえ愛そうと決めたからと言っても、まともに顔を見るのもエイヤッと勇気がいるのです。
笑顔を向けようと思っているつもりでも、全然笑顔になりません。
その結果、ぶっきらぼうに「おはよう」と言ってしまうのです。
それでも頑張って「おはよう」と言えた、と安堵したところで、夫がすぐに喜ぶわけではありません。
怪訝そうな表情をされたり、気がつかなかったのかスルーされることもありました。
すると私は思うのです。
なんだよせっかく愛そうとしてやったのに。いや待てよ、夫が喜ばないということは、私がやったことは愛とは言えないのかな。
こんなことをやっても意味がないのではないか、という思いを何度も感じ、
いや、でもこれは愛だ、と思い直し、
また次の機会に、朝起きて、夫の顔を見ると、このまま「おはよう」なんて言わずに放っておきたい気持ちが出てくるのです。
知らん顔してもいいし、笑顔で「おはよう」と言ってもいいわけです。
そんなときに、自分から愛することを決めてコミット(上記ステップ1)していると、なんとか<愛を選ぶ>ことがしやすいようです。
そして顔をひきつらせながらも「おはよう」と言ってみるのです。
愛そうと決めても、何度もやりたくない気持ちが出てきます。
そしてそのたびに、何度も愛を選択し続けます。
もちろん愛を選択できないこともありますが、次こそは愛を選ぼうと、また自分に約束するのでした。
***
私が愛を選択しても、愛そうとしても、夫が心を開いてくれるまでには相当時間がかかりました。
それはそうですよね。それまで鬼嫁のように怒ってばかりの私が、いきなり歩み寄ろうとしても、相手はひるみます。
簡単に心を許したら、また痛い目に合うのではないかと夫は不信や不安でいっぱいだったのではないかなと想像します。
なので、ちょっとずつ、ほんのちょっとずつ、足元を確認しながら崖っぷちを歩くように、夫婦関係の再生は進んでいきました。
私が愛を選び続けていると、夫が少しずつ変化してくるのが分かります。
それを心の支えにして、ちょっとずつ、ほんのちょっとずつ。
そして長い長い道のりを進んでいった先に、それまで見たこともないような、温かくてやさしくて、思いやりに満ち溢れた夫婦の形が待っていたように私は思います。
今まさに夫婦関係の再生に取り組んでいらっしゃるみなさん、きっとまだ先が見えずに不安になることもあるでしょう。
でも、あなたが愛することを決め、愛を選択していった先には、必ずあなたが幸せになる道が開けていると、私は心の底から信じて、そして応援しています。よろしければ、ぜひこちら↓↓↓もご覧くださいませ。